小林製薬の紅麴成分が含まれるサプリメントの健康被害は、厚生労働省によると、4月4日時点で、死亡した人が5人、入院した人が196人、医療機関に受診した人が1120人、小林製薬への相談件数が約4万5000件などなどである。
被害が疑われるサプリは、「紅麴コレステヘルプ」45粒15日分/90粒30日分、「ナイシヘルプ+コレストロール」、「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」の3商品。
(1) この「機能性表示食品」はどのようにして生まれたか?
① 「トクホ(特定保健用食品)の認定を受けなければ効果を商品に記載できないのでは、お金も時間もかかり、中小企業などのチャンスが閉ざされる」2013年6月当時の安倍首相が規制緩和を表明した。
② その2年後の2015年4月「機能性表示食品」がスタートした。
③ 2017年(導入3年目)トクホの許可件数を超えた。
④ 現在は、7000件と伸び続けている。(トクホは、横ばいで1000件を少し超える件数)
⑤ 健康商品のリスクに詳しい群馬大学の高橋久仁子名誉教授は、「手続きの手間などを考えれば、事業者はトクホではなく、機能性表示食品として売り出そう言う気持ちになる」とのこと
(2)「機能性食品の問題点」
①審査がない。機能性表示食品は、「保健機能食品」との位置づけは、トクホと同じだが、事業者は、国のガイドラインに沿って届ければ、審査はない。
②「事業者の言ったもん勝ち」の面あり。効果についての表示について断定調のものがある。トクホでは、国が精査するのに対して「血圧を下げます」などと効果や効能をはっきりと表現しやすい。言ったもん勝ち」という側面がある。
③小林製薬の「紅麴コレステヘルプ」で、国へ提出した資料には、多くの人が食べてきた「食経験」や、安全性試験の評価記載がある。だが消費生活コンサルタントの森田満樹さんは、評価期間や長期摂取試験の参加人数が67人で「参加人数が少なく、安全だとは言えないだろう」とみている。
④健康被害があった時の公表の制度がしっかりしていないことである。結局小林製薬の紅麴のケースでは、1月15日に「医師からサプリ(紅麴コレステヘルプ)を使用した人に腎疾患がある」との報告から、自主回収の公表まで2月もかかっている。現在も詳しい原因について(未知の成分としてブペルル酸の検出はあるが)は、明らかになっているとは言えないだろう。
(3) 機能性表示食品と健康食品 私たちの健康
テレビ通販などを見て、画面表示の注目していると「機能性表示食品」と明示してあることに気がつくようになった。やたらに多い。
① 国の審査がなく、前述の群馬大学の高橋久仁子名誉教授は効能の記述について「トクホと比べて相対的に論文レベルが低い」と指摘している。都合の良い、論文をピックアップし、役所に届けるだけ、その科学的根拠を信じていいのかという疑問もわく。売り手は、良い面しか強調しないからだ。
② 「週刊ポスト」4月26日号の記事より
「国立健康・栄養研究所」(厚生労働省所管)が健康食品・サプリの原料に関する「安全性・有効性情報」をインターネットでこうかいしてきたが、2023年3月以降「安全性」情報が削除されていることが分かった。
副作用を知らしめておくことがとても重要だと思う。
③ サプリメントは、毎日数粒摂取するものも多い。毎日・数週間・数年にわたって摂取した場合、プラス面よりもマイナス面も多いと思われる。「薬好き」の方が多いい時代ではあるが、宣伝にあおられて必要でない薬やサプリメントの摂取は、よく考えた方が良いと思う。
④ 「トクホ」は、国が審査しているから安全・有効と思われるかもしれないが、以前「あれが、トクホに指定されたの!」という驚きを聞いたことがある。薬・トクホも含めて謙虚になって向かい合いたい。
以上、企業の一方的な宣伝効果は、凄い。アジアの方々もそういったサプリメントを求めて、日本に来る方もいると聞きます。宣伝に踊らされず、私たちの食べるべきものを追求し、(あるかどうかわからないが)必要なサプリメントを選択したいと思った。
参考資料
2024年3月31日毎日新聞朝刊4面 アベノミクス 負の遺産?
週刊金曜日4月12日号「紅麴」サプリメント 最悪被害の裏に見える小林製薬の隠ぺい体質
「週刊ポスト」4月12/19日号 と4月26日号の記事より